「韓国」初日の出観光列車にイソウロウ

〜第2部 いよいよ出発!〜


冬の韓国の定番ツアー列車、乗客を乗せて出発です!


↑重連機関車に旧特専客車。
韓国の年越し列車にふさわしい豪華編成が清涼里駅で出発を待ちます。
 

ソウルのもう一つのターミナル、清涼里駅

 

ソウル市内の長距離鉄道のターミナルと言えば、ソウル駅、そして最近発展目覚しい龍山駅があります。しかしソウル市内には古くから東海岸や春川方面の始発駅として栄えたターミナルがあります。それがここ、清涼里駅です。中部・南部の大都市を目指すソウルや龍山駅とは対照的に清涼里は東部の地方都市を目指すターミナル駅です。駅舎は数年前に橋上駅舎として新しくなりましたが、どことなく懐かしい香りが漂う始発駅独特の風景は今も健在です。

清涼里駅は主に中央線(原州・安東方面)、太白線(寧越・太白・東海・江陵方面)、京春線(加平・
春川方面)の長距離列車に龍山〜徳沼電鉄が龍山方面、徳沼方面へとアクセスします。また駅から徒歩3分ほどで地下鉄1号線の清涼里駅がありますが、ここ地上清涼里駅とは別駅扱いで、龍山〜徳沼電鉄との乗り換えには直通通路が無く、改札を出る必要があります。

4425列車、出発を待つ

 

清涼里駅のホームにはかつて韓国の主要駅で見られたフラップ式の行き先案内機が今も現役です。今回の列車は定期列車の走らない湫岩行きという事もあり、行き先表示部分は空欄になっていました。
 

 

DL2

DL1

電源

1号車

2号車

3号車

4号車

5号車

6号車

7号車

8号車

 

←天安・堤川

7320

7452

99276

11208

11246

11214

11226

11228

11225

11238

11212

清涼里→

 ←東海

水色

栄州

電源

化粧室

 

 

 

放送

化粧室 

 

化粧室

湫岩→

 

機関区

機関区

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4425列車(無窮花号)
京元線・龍山三角線・京釜線(第3本線)・京釜線(第1本線)
五松線・忠北線・中央線・太白線・太白三角線・嶺東線・三陟線経由

 速 度 種 別  (永登浦〜瑞倉)クッピョン/7100 (急丙:平均速度75/牽引定数23.0)
ポジョン/7100 (普丁:平均速度50/牽引定数38.0)

清涼里(21:50) → 湫岩(5:30)

 

出発準備が続く

 

列車は間もなく団体の改札が開き乗客を迎えます。我々の乗る機関車でも準備に余念がありません。

(左上) ツアーに添乗する鉄道公社の営業スタッフと運転予定を打ち合わせ。

(左下) 京釜線は高速で激走、その後は酷寒の険しい峠越えと、機関車は夜を徹しての非常に厳しい任務のために入念にエンジンテストが行われます。
連続フルスロットル状態のエンジンの横に立つと背骨まで振動しているかのような大迫力!排気筒から時折火花が上がり、この機関車の力強さをますます印象付けられます。

さあ改札開始!続々乗客が乗り込みます☆

 

出発10分前の21時40分、改札が開き、約150名の乗客が乗り込みます。

「いらっしゃいませ!」

楽しい旅のお手伝いが出来るよう、乗務員一同、心が引き締まります

(参考)
4425列車のダイヤ


台湾編で多数作成した国鉄時刻表風ダイヤ。調子に乗って韓国編も作成して見ました^^;

我々の乗る4425列車は龍山〜徳沼電鉄のK5138列車の出発した直後、後を追うように京元線を龍山へと向かいます。二村駅から龍山三角線で京釜線に入り、途中の水原駅で後続のセマウル号を先行させます。1000万都市、ソウルの鉄道は夜の10時を過ぎても超過密ダイヤ。三角線や渡り線を駆使して走る列車はダイヤ通りの正確な運転が要求されます。

※この時刻表は実際のダイヤを元に気分を味わって頂く為に作成したものです。太字の長距離列車と細字の通勤電車はまったくの別体系です。また、グリーン車マークやL特急、「特急」「急行」「快速」などの列車種別呼称は韓国では使用されません。さらに「セマウル11号」こと1011列車は食堂車は非営業です。
 

出発時間間近

 

乗客も大部分が乗り終え、いよいよ出発の時が近付きます。機関車も最終点検が終わり、7時間40分に渡る長旅が始まろうとしています。


 

(参考)
4425列車のルート









清涼里駅を出発した列車は京元線を漢江沿い走り、龍山の手前で三角線を経由して京釜線(第3本線)へと入り、漢江鉄橋を渡ります。










京釜第3本線を鷺梁津駅、大方駅、新吉駅と通過し、永登浦駅手前で京釜第1本線へと入り、永登浦駅へ到着します。



























永登浦駅を発車した列車は始興駅先の分岐点でKTX線と別れ、水原、天安と停車します。

















天安を出発した列車は鳥致院駅手前の瑞倉(信)で三角線である五松線に入り、忠北線へと入ります。

列車はこの後、鳳陽駅で中央線に入り、堤川駅からは太白線へと入ります。
 


21時52分、4425列車、清涼里発車!

 

出発信号が進行現示になり、いよいよ待ちに待った出発の時!列車はゆっくりと夜の鉄路へと踏み入れます。

2006年最後の夜、約150名の乗客と7名のスタッフを乗せ、列車は2007年最初の日の出を迎えに行きます。

京元線を走る

 

列車はぐんぐんと速度を上げて夜の京元線を走ります。

再び漢江のほとりへ

  

進行方向左手に漢江の明かりが見えてきました。ここからはHangang Night Cruise!2006年を締めくくるショータイムの始まりです☆

鷹峰駅再び

 

行きの回送より早めの70Km/hほどで列車は走ります。さっき通ったばかりの鷹峰駅(3〜5番)も軽快に通過。玉水駅に向かう途中では清涼里で離合した新型電車が龍山で折り返し、ここでまた再会(^_-☆
 

玉水駅再び

 



楕円形の断面を持つ玉水駅に侵入。少し昔のSF映画の世界のような雰囲気が印象的です。

玉水駅〜漢南駅

 

列車は極上の漢江遊覧が続きます。過ぎ行く電鉄駅も次に会う時はもう来年、今年最後のソウルの灯を見ながら2006年が暮れて行きます。

(1,2番) 玉水駅ホームの列車行き先案内板。行き先を表示せず、通過列車の案内をします。

案内板の表示

先発 : 当駅 通過

この列車は通過列車です
次の列車を御利用
下さるよう願います 

 

夜の漢江沿い

 

時計の針は22時を回り、2006年もあと2時間となりました。年の瀬のソウル、家路に着く人新年を外で向かえる人と並行する道路には多くの車が走ります。

西氷庫駅〜二村駅

 

列車は一度漢江と別れて、西氷庫(4,5番)、二村(8,9番)と走ります。

 

二村駅通過

 

駅の背後にマンションが立ち並び、日本の私鉄駅にも良く似た雰囲気の中を重連の機関車が走り抜けます。

 

京元線のフィナーレ

 

二村駅を通過する頃、列車は少しづつ減速を始めます。漢江路の下をくぐれば、京元線と龍山三角線の分岐点です。

(7番) 場内信号機は注意現示。信号機の下のハングルは龍山三角線の「三角」
 

龍山三角線進入〜☆

 

列車はめいっぱい減速し、いよいよ定期旅客列車の通らない龍山三角線へと入ります。
 

龍山三角線の旅

 

列車は最徐行で龍山三角線を走ります。わずか500mの路線ながら、急カーブと2箇所の踏み切り。運転席は前方注視でかなりの緊張感です。

(9番) 龍山三角線を抜けると、急行電車や光明シャトルの走る「京釜第3本線」へと入ります。
 

「京釜第3本線・漢江鉄橋」

 

京釜第3本線に入った列車はすぐに漢江鉄橋となります。

ちなみに龍山〜九老間の京釜線は3複線となっており、KTX/セマウル/無窮花の走る長距離線は「京釜第1本線」、ソウルメトロ1号線と直通する線路が「京釜第2本線」、今我々の走っている急行/シャトル電車の走る線路は「京釜第3本線」となります。

「京釜第3本線」は、「仁川急行」(龍山〜東仁川)、「天安急行」(龍山〜天安)、「KTXシャトル」(龍山〜光明)の各通勤電車と九老の電車区への入出庫電車、そして京仁線貨物列車が主に走ります。

漢江越え〜鷺梁津駅

 

列車は重連の機関車の轟音を響かせて夜の漢江を渡り、鷺梁津駅(7〜9番)を通過します
 

急行電車の線路を急行列車が行く

 

列車はゆったりと急行電車の線路を走ります。この辺りで長距離線である京釜第1本線ははるか右下へと移る為、複々線の電車路線のような雰囲気になります。

大方駅進入

 

列車は夜の大方駅へ進入。汽笛が無くても派手なエンジン音で十分に列車の存在が分かります^^;

大方駅〜新吉駅

 

大方駅を通過した直後、遠くにはもう新吉駅が見えています。乗換駅の新吉駅はホームにも多くの乗客が待っていました。

第3本線から第1本線へ

 

新吉駅を通過するといよいよ永登浦駅です。列車はここで渡り線を利用して第1本線へと入ります。

22時21分、永登浦駅到着

 

かくして列車は最初の停車駅、永登浦に到着します。永登浦駅は江南地区の京釜線の拠点、ここではおよそ250人のツアー客が乗り込みます。
 

永登浦駅待機中

 

多くの乗客を乗せている間に我々の右側の側線には永登浦発(清涼里経由)太白行きの冬季臨の回送がやって来ました。

(右上) ホームの案内表示板。「無窮花号 三陟行き 22:24発」となっています。客扱いは湫岩ですが、スジは三陟まで引かれているので行き先が湫岩の先の三陟になってしまったようです。韓国側のスタッフによれば「湫岩は三陟市にあるので三陟でも問題ないよ〜」との事でした^^;
 

22時24分、4425列車、永登浦駅発車

 

3分間の停車の後、列車は定時で永登浦駅を出発。ここからは速度種別も急丙/7100となり、重連運転の本領発揮です。
(3番、8番) 年末とあってソウルへ向かうKTXもソウル到着ラッシュ。短い時間の間に2本のKTXとすれ違いました。
(9番) 始興駅手前の信号進行表示に右線路表示、ハングルで「京釜」の文字。京釜第1本線進行の指示です。


 

速度を上げて

 



列車はぐんぐん速度を上げて120km/hでの高速運転。豪快なエンジン音を唸らせながら京釜街道を軽快に走ります。
 

京釜線爆走〜水原駅

 

列車は多くの電鉄線電車と離合・デッドヒートを繰り返し、あっという間に水原駅(9番)に到着しました。
 

水原駅停車中

 

水原駅では80名ほどのツアー客が乗り込みます。そしてその間に後続のセマウル1011列車を先行させます。

今日のセマウル号1011列車は大宇型PMCを先頭にした新塗色の編成です。
 

22時56分、水原発車〜再び京釜線を激走

 

セマウル号の遅れがあり、列車は5分遅れで水原駅を発車。再び時速100km/h超の世界となります。
 

天安へ向けて


車窓が少しづつ寂しくなったり、賑やかになったりを繰り返しながら複々線を走り、天安駅へと向かいます。


23時29分、天安駅到着

 

水色の機関区から4時間。列車は天安駅に到着。最後のツアー客、約20名が乗り込みます。水色機関区から乗務した機関士さん・副機関士さんもここで乗務交代。安全運転お疲れ様でした〜<(^_^)

我々の機関車添乗もここまで。ここからは一緒に乗務して来た副機関士さんも交えて客室で終点を目指します。副機関士さんは「明後日まで仕業が無いので今日は飲酒もOKだよ☆」と。

客室と言ってもこの列車は本日は満員御礼の列車。MINEYUKIと職員の鄭さんと副機関士さんの我々イソウロウ組にはイソウロウらしく客室では無く、発電車のスタッフルームを用意して頂きました。

(8番) 発電車のスタッフルームは通常、発電装置の動作監視や車販スタッフの待機場所として用いられます。今日のここの主(?)、車内販売担当の弘益会(日本の鉄道弘済会に相当)さんは「待ってたよ〜賑やかになるね〜今日は美味い酒を持って来ているので後で酒盛りだよ☆」と言い残して再びカートを押して客室へと向かいました。

 

発電車のスタッフルーム




発電車のスタッフルームは旧特専と同じリクライニング座席が窓を向いて4席(2人掛けx2列)あります。

夜通し鳴っている隣の発電エンジンの騒音が無ければ観光列車のような気分です☆

23時33分、いよいよ天安出発!

 

列車は静かに天安駅を発車。客室に入ってみるとお休みの乗客も増えて来ました。

(右下) 旧特専の放送室。ツアー主催のKTX観光レジャーのスタッフはここで待機しています。

電源車でのカウントダウン 〜 いよいよ2007年!「明けましておめでとう〜♪」

 

車内を観察して電源車に戻ったのは2006年もあと5分を切った23時56分。職員の鄭さんが「みかんを持ってきたから食べよう!」と。

ツアーコンダクターさんによる客室向けの車内放送でのカウントダウンに合わせて2007年1月1日0時0分、発電車はみかんの乾杯で年が明けました^^;

酒盛り開始〜☆

 

折もよく本日の業務を終えた弘益会さんも戻って来て「2007新年酒盛り@京釜・五松・忠北線」が開始しました。韓国の人はお酒が強い!日本代表(?)MINEYUKIは圧倒的な強さの韓国勢になす術も無く、堤川駅到着(1:25着/右下画像)を見届けて早くもグロッキー(~_~)

と言う訳でおやすみなさい…

あっ!年越しそば食べ忘れた。でもここは韓国だから…ま、いいか…(=_=)

初日の出まであと5時間30分、観光列車の旅はまだ続く


堤川駅からは太白線に入り、静寂な夜の線路を東へ向けて走ります。
4425列車の旅と発電車での鉄道マンの酒盛りはまだまだ続く…

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