「台湾」自強號EMU300にイソウロウ

〜前編 
Fantasista della linea costiera-海線ファンタジスタ


Ciao!ミラノから来た特急電車にイソウロウする


↑イタリア生まれの特急電車はエレガントに吊り掛けモーター音を奏でます
 

今回の出発地。台湾中部の員林駅

 

今回は台湾中部の員林駅から北上するEMU300「自強1024次」にイソウロウします。

員林は台湾中部、農業地帯にある彰化県第2の都市です。農業と商業が絡み合い発展した員林では米から作られた太麺の「米苔目」、皮付きの肉団子を蒸した「
肉圓」等の台湾料理も有名です。

 

海自強1024次 台北経由蘇澳行き

 

早速の員林駅のホームに向かいます。暑いホームではすでにEMU300系が出発準備を行っていました。

今回イソウロウする列車は14時49分発の海線を走る自強號(いわゆる海自強)、縦貫線(南段)〜海線〜縦貫線(北段)と北上、台北を経由して宜蘭線を走り太平洋側の蘇澳までの経路を走ります。

今回はここ始発駅の員林から海線区間を経由し、ハイテク都市として知られた新竹までをイソウロウします。

EMU300のディテール(1)

 

EMU300の各部を観察開始〜。EMU300は3両1ユニットで構成された自強號専用電車。EMU100やEMU200のカラーリングを継承しながらも、より洗練されたデザインとなっています。


EMU300のディテール(2)

 


車内を観察します。広くシートピッチの取られた座席はフットレスト付き。長距離でも快適な旅が出来る様、落ち着いた雰囲気となっています。


EMU300のディテール(3)

 



(下2枚) 車内各所に付くイタリアSOCIMI社のプレート。ソシミ社は鉄道ファン的には欧州の路面電車や台車で知られたイタリアの車両メーカー(現在は倒産)ですが、その技術は台湾向けに作られたこの長距離用電車にもふんだんに活かされています。


EMU300の運転室

 



そして今回も台湾鐵路局関係各所のご好意ご協力を得て運転室にイソウロウします〜。

運転室の風景

 

運転士さんと挨拶、自己紹介を交わし出発準備をします。

自強號EMUは機関車列車と違い、1人乗務となります。運転士さんはここ員林から台北を経由し八堵(18時20分)までおよそ3時間半の乗務となります。

 

 
おまけ

今回も勝手に自強號1024次の走る縦貫線・海線(山線)の上り列車時刻を日本の国鉄末期の時刻表風にアレンジしてみました(^^;;

午後の彰化駅付近の上り列車は台北を夕刻の時間帯に到着する列車が通り掛るため、多くの優等列車が発着します。

「自強1024号」こと海自強1024次は員林を14時49分に出発し、我々の目的地、新竹が16時40分、台北が17時50分、終点蘇澳には20時6分に到着します。


*注意
この時刻表は実際のダイヤを元に特急街道の雰囲気を感じて頂ける様に作成した参照用です。モチロン実際はL特急や急行、快速と言う列車種別は無い上、運賃制度など日本と異なる点も多々有ります。

1024次、出発待機中

  



冬だと言えど暑い員林駅第2月台。冷房を効かせた1024次は出発の時を待ちます。

平日の午後と言うこともあって員林駅からの乗客はまばらです。
 

14時49分、員林開車〜!

 

程なく出発合図の無線連絡が入り、列車は静かに員林駅を発車しました〜。新竹まで123.0kmを1時間51分、表定速度66.5km/hの旅の始まりです。
 

吊り掛け音を奏でながら

 



列車は吊り掛けモーター音も高らかに加速を続けます。

EMU300は運転士の居眠り防止に10数秒おきに警告ブザーが鳴るようになっています。ブザーが鳴って5秒以内に足元のペダルを踏まないと非常ブレーキが掛かる仕組みです。そのためEMU300は走り出せば運転席にはこまめにブザー音が鳴り響きます。

縦貫線(南段)北上中!

 

EMU300はあっという間に110km/hまで速度を上げてノッチオフ。台湾の大動脈を駆け抜けます。

EMU300の最高速度は120km/hで設計されましたが、実際の1024次は事実上110km/hを最高速度として運転されています。

自強1024次、快走!

 

1024次は110Km/hの速度を持ったまま快走します。

花壇駅通過〜彰化駅接近

 

花壇駅(3番)を通過した列車は彰化の街へと入ります。無線連絡後、徐々に速度を落とし最初の停車駅、彰化駅進入体制に入ります。
 

15時2分、彰化駅到着


15時2分、列車は彰化駅に到着します。

 

彰化を後にする

 

1分の停車時間を終えて、列車はゆっくりと発車します。駅を出た所で集集線乗り入れの気動車ともすれ違い、鉄道の街、彰化を後にします。
 

関連ページ

彰化機務段にイソウロウ
自強號EMU1200にイソウロウ 第2部

出発、オーライ!

 

彰化を出発した列車は再び北上を始めます。運転士さんは無線通信、信号点呼に余念がありません。

「閉塞進行!」は台湾式に「出発オーライ!」と点呼します
 

鐵路のジャンクション、大肚渓

 

しばらく走るとATSのブザーが鳴り、我々の列車は減速します。縦貫線から海線・山線に分岐する大肚渓(信)に接近です。列車は分岐器を左に折れ(6番)海線に進入、更に複線の右側線に入ります(8番)。

複々線を走る

 



海線の複線区間(左2本)と山線の複線区間(右2本)が並走します。

大肚渓を越えて

 

列車は山線と共に大肚渓(川の名称)を渡ります。彰化県はここまで、川を渡ると台中県です。

(4番) 複々線ですれ違う左側通行の山線電車。
(7番) 山線とは川を渡ったところで離別
(9番) 新たに成追線と並走します。

追分駅を目指す

 

列車は右に成追線を並走させ、追分駅に進入します。

関連ページ

追分駅にイソウロウ

追分駅通過!

 

列車は追分駅を通過します。右側通行で入線すると分岐器の速度制限が少ないため、スムーズな乗り心地で駅を通過、単線区間へと入ります。
 

単線区間突入

 

海自強號1024次はモーター音も高らかに、田園に囲まれた単線区間を110Km/hで疾走します。

畑の中の海線

 

海線はしばらく田園の広がる一帯を走り、大肚の街へと向かいます。

(左上) 畑の遠くに大肚渓の堤防が見えます
 

大肚駅通過

 

列車は大肚駅を通過します。単線区間の駅を高速で通過する姿は特急の風格十分です。
 

龍井駅へ向けて

 

大肚駅を過ぎた列車は龍井駅へと駆け抜けます。

台湾電力石炭積み込み場〜龍井駅

 

列車の右側にヤードが広がると「台電燃煤運儲場」です(1〜6番)。火力発電所への石炭供給の拠点を過ぎると龍井駅(7〜9番)となります。
 

再びトップスピード

 

龍井駅を過ぎると無線交信が増え、運転室内も賑やかになります。

次は海線最初の停車駅沙鹿駅です。

沙鹿に向けて

 



100〜110Km/hの速度を維持したまま単線区間を北上し続けます。
 

15時19分、沙鹿駅停車 

 

15時19分、1027次は海線の拠点駅の1つ、沙鹿駅に定時到着します。隣のホームには彰化行き電車2417次が待機中でした。

沙鹿駅停車中

 

海線は単線区間が多いため、ダイヤ混乱時の列車の遅れを吸収できるよう、停車時間が1分30秒〜2分と長めに取られています。



隣線に停車中の入換帰り、R50型入換器とのランデブーをしながら出発を待ちます。

沙鹿〜清水


沙鹿を出発した列車は次の駅、清水駅へと向かいます


15時23分清水駅到着


列車は清水駅に到着。はたまた入換帰りの単機との出会いを果たします。
 

複線区間を激走


清水駅を出ると複線区間に入ります。列車はそのまま右側通行となります。イタリア生まれのEMU300が、単線並列の複線区間を絶妙に進路をとりながら走る姿はまさに「Fantasista」の名が似合います!ファンタジスタは海線のフィールディングも軽やかに華麗なドリブルを繰り広げます。

台中港駅

 

前方には台中港駅が見えてきました。貨物輸送の拠点駅もホームはこじんまりとしています。
 

台中港駅を抜けて


列車は台中港線の分岐する台中港駅を通過、大甲渓(7,8番)を渡ります。
 

大甲駅接近

 

1024次は無線交信を交わし、次の停車駅、大甲駅停車体制へと入りました。
 

15時34分、大甲駅進入

1024次は渡り線で走路を左線へと切り替え(2〜5番)、大甲駅へ到着しました。大甲は沙鹿と共に海線の主要駅です。
 

1024次、大甲到着


列車は多くの乗客が待つ大甲駅に到着。EMU300の自強號1024次の旅は後編に続きます。
 

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