「韓国」入換機関車2118号にイソウロウ
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今なお現役!車齢35年を誇る入換機、老兵2118号にイソウロウする。

↑韓国国鉄の代表的な入換機、2100号代2118号。韓国のDD13とも言える古株入換機です。

今回の舞台、富谷(現:儀旺)駅

 

ソウルから京釜電鉄線で約50分、城郭の街、水原にも近いここ儀旺駅。取材時にはここは富谷駅と呼ばれていましたが、現在は儀旺駅に改名されました。(隣の元・儀旺駅は五峰駅に改名)

多くの鉄道ファンは儀旺(富谷)といえば「鉄道博物館」のイメージをお持ちかと思います。

ここ儀旺は鉄道大学や鉄道関連の各種研究所、車両メーカーRotemの工場、貨物ターミナルの五峰駅、そして機関区である富谷機関車事務所。とまさに「鉄道の街」です。

2118号発見!

儀旺駅の電鉄ホームを降りると、線路を1つ隔てた側線に2118号がスタンバイしていました。

2118号+急患7402号
今回イソウロウする2118号の後ろにはお馴染み特大型機関車の7402号が連結されています。


今回はこの7402号の電気系統が故障、配置先の水色車両事務所(機関区)では故障部分を繊細に検査する設備が無いため、専門の設備と技術員のいる富谷機関車事務所内の整備施設で修理を行うことになり、2118号に牽引され急遽富谷へ運ばれてきました。

日本風に強いて言うならば田端運転所の故障機が入換機に牽かれて新鶴見機関区に運ばれて来たような感じです。
2118号の運転室

 


いざ、2118号の運転室に入ります。中は天井も高く結構広いです。


車齢35年の年季を感じさせる設備と、足元から伝わるディーゼルの微振動が心地良い空間です。


また、アメリカ(GM-EMD)製故に計器類の表記はほとんどが英語です。

2100号代について

 2100号代は経済成長期の幕開け1968年に製作が開始され、当初は太白山脈の産業路線で入換や小運転を目的に投入されました。1000馬力のエンジンを搭載する電気式DLです。

最近は国産の後継機4400号代の登場により、活躍の場も徐々に狭まり、現在は多数が首都圏に移り晩年を過ごしています。2118号もその1つ。水色機関車事務所に所属し、普段は無窮花号など客車列車の構内入換をメインに担当しています。
ちなみに2100号代はエンジン側(左上画像)が前、多窓側(右下画像)が後ろです。

今回のMISSION!

MISSION

2118号後方に連結した故障機7402号を富谷機関車事務所へ連れて行きます。


現在の位置関係が左図の通りです。7402を左上の車庫に押し込むのが今回のMISSIONです。

この時、過密ダイヤの京釜線を横切るのは事実上不可能ですので、貨物ターミナルである五峰駅(右下)に一時引き上げて、京釜線を跨ぎ富谷機関車事務所へと向かいます。


7402号を機関庫に入れた後は、上り発着線に戻りMISSION完了です。

 

今回のMISSIONを担当するのは、当サイトでお馴染み、リュウ・ギユン機関士と後輩の相棒さん。今日は水色機関車乗務所での事務所待機でしたが、緊急出動の要請を受け、儀旺までやって来ました。

リュウ・ギユンさん曰く「本線の無窮花号機関士になる前は数年間入換で腕を磨いているから、今回もバッチリ決めて見せるよ」 
 

MISSION開始!

 


入換係の職員さんがやって来て、段取りを打ち合わせます。

まず、後方の7402号の切り離しでMISSION開始です!

機回し@



STEP 1

7402号を切り離し、7402号の後方に2118号を付ける為、機回しを開始します。

 

前方デッキに入換係さんを乗せ、前進します。徐々にノッチを上げゆっくり加速します。

(左下)ブレーキは単独弁を使用。2118号の単独弁は「緩解(緩め)」と「満制動(フルブレーキ)」の2つしかポジションが無いため、せわしくレバーを動かし、最良のブレーキ具合を調整します。

 

機回しA

 
STEP 2

2118号は7402号の横をかすめて7402号の後方に回り込みます。


逆転機を後退に入れ、入換信号機を見ながら、入換係さんの無線を待って出発です。

ひっきりなしに列車が走る京釜線を横目にマイペースの30Km/hで構内を走ります。


入換機の30Km/hは運転台が高いと言えど体感的にはスピード感満点です。

 

7402号をかすめる

グロッキー中の7402号の脇をかすめます。

「待ってろよ〜。すぐ連結してやるからな〜」

 

機回しB

 

STEP 3

2118号は引き上げ線から7402号の後方に付け、7402号と連結します。

進路の1つ1つを的確に確認しながら、複雑な線路配置の構内を慎重に運転します。

 

STEP 4

7402号の後方に2118号を連結します。



2118号は入換係さんの無線と手合図で、衝撃無く7402号の後方に連結しました。
 
連結完了!

 


完璧な連結にギユンさんも得意気です。「どうよ?完璧だね」運転中の真剣な顔が一仕事終えて一瞬緩みました。

すかさず無線で入換係さんと連絡。「車両異常無し!お疲れ様でした〜!」


一時の休息

7402号を連結して組成完了です。列車はこれから五峰駅を目指します。同時に構内運転から本線運転列車へと扱いが変わります。
 

2118号観察!

 



出発までの時間に2118号を観察します。

日本ではあまり見かけないL型のスタイルからはアメリカンな雰囲気が漂っています。


 

出発時間

 

副機関士さんからの呼び声が!
「ギユン兄貴〜!指令から今列車出せってよ〜!」

予定より数分早い出発指示に大急ぎで列車を出します。
 

STEP 5

儀旺駅から南部貨物基地線に入り五峰駅を目指します。

南部貨物基地線の旅@

 


儀旺駅から五峰駅までは南部貨物基地線に入ります。産業地帯や釜山、木浦、麗水、浦項、蔚山と全国からの貨物列車は京釜線儀旺からこの路線を経由してソウルの1大貨物ターミナル、五峰駅に発着します。


京釜線を駆け抜ける多くの列車と出会いながら、135tの機関車を従えて、2118号はスロープを登って行きます。
 

南部貨物基地線の旅A

 

京釜線に並行するスロープを登り、右にカーブすると五峰駅が見えて来ました。

ちなみに南部貨物基地線は2本の双単線で構成されています。



2118号+7402号は広い構内をかき分け貨物7番線に静かに停車しました。

方向転換

 



五峰駅で方向転換、7402号を先頭にします。助手席の副機関士さんが7402の運転席に乗り込み前方監視。無線呼応による推進運転の開始です。


(左下)五峰駅の事務所

五峰駅発車!

STEP 6

五峰駅から南部基地線を推進運転で発車します。

 

7402号との無線テストの後、指令からの出発指示を受け儀旺駅を発車します。

無動力の7402号を先頭とした推進運転の開始です!

南部貨物基地線の旅B

 

次位の本務機2118号が7402号をぐいぐい押します。

五峰駅の広い構内を抜けて、複々線の京釜線を跨ぐと(5番)京釜線と併走しながら儀旺駅の隣、富谷の機関庫を目指します。

(8番〜10番)新塗色の通勤電車が試運転中。

再び儀旺駅到着

 

STEP 7

南部貨物基地線を走り、推進運転で儀旺駅隣の富谷機関車事務所を目指します。

 

再び儀旺駅に到着した列車は、広大な発着線の脇をかすめながらゆっくりと構内を走り、機関庫を目指します。

機関庫付近には新CI塗色の機関車も休息中でした。

 

STEP 8

富谷機関車事務所内を最徐行で進入。7402号を機関庫に入庫させます。

検修庫入庫!

7402+2118号は検修収庫に到着。ゆっくりと7402号を押し、奥に搬入します。

さらば7402号

 

STEP 9

7402号を入庫させた後は連結を切り離し、機関庫を離れます。



7402号から副機関士さんも戻り、7402号の解結を待ちます。


程なく「解放完了」の連絡がありました。

 

「7402号をよろしく頼みますね〜」

富谷機関車事務所の構内を行く

 

STEP 10

機関庫から儀旺駅の外れの機回し線に2118号を退避させます。




富谷機関車事務所の構内を徐行します。新しい貨車や新色の機関車は機関区にも新しい韓国国鉄の波をもたらしていました。


列車は幾つもの発着線を横目に機回し線へと入ります。
 

ラストステップ

 

STEP 11

機回し線から、儀旺駅の上り出発線に2118号を移動させて今回のミッションは完了です。



機回し線から、再度方向を変え、儀旺駅の上り発着線に入ります。


かくして一連のMISSIONは無事に完了。

皆様、お疲れ様でした〜!

儀旺駅を後にする


無事に任務を終えた2118号。儀旺で一仕事終え、これから京釜線〜(ソウル駅)〜京義線を経由してネグラである水色に帰ります。


[後編につづく]


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