「韓国」機関車8200にイソウロウ

〜後編 「ユーロスプリンター」を韓国で体感!〜



韓国の最新鋭電気機関車、8200号の性能を体感☆


↑ソウル駅1番ホームに設置された「鉄道起点」のモニュメント
韓国鉄道の中心で釜山行き無窮花号は出発を待ちます
 

ソウル駅の風景

 

KTX開業3年目を迎えたソウル駅。ガラス張りの駅舎と巨大なドーム状の屋根を持つホームはヨーロッパの駅を思わせる立派なものです。ドイツの顔を持つ8200号はヨーロッパ風のホームにも良く似合っています(*^^*)

 

8217号は出発準備中

 

ソウル駅に到着した列車は出発準備と機関車の最終点検に余念がありません。
(下段) パンタグラフの昇降テスト。シングルアームのパンタグラフがふわっと上がります。

欧米だ!?

 

8217号をしばし観察します。欧州風のホームにTGV型の高速列車やアメリカ型のDLが行き交う様はまさに欧米の鉄道風景。つくづく「ソウル駅」ならぬ「ソウル中央駅」の様相です^^;



日本から飛行機で2時間足らずでこんな欧米的な鉄道シーンに出会えるのは何とも不思議な気分です。

(おまけ)8200号の都市伝説(?)検証
「8200号は常に右下を向いている」の謎

8200号を日中に沿線で撮影するとフロントガラスに白い点が2つ写り込みます。日中に長めのレンズで撮影した時にこの現象は更に顕著になります。また、同じELでも8000号や8100号では同様の現象は起こりません。この白い点のおかげで8200号はどの角度から撮影しても顔が常に右下を向いているような印象になります(Q_Q)

この白い点の正体は、「フロントガラスに張られたガラスメーカーのステッカー」です熱線入りフロントガラスに運転席方向に印刷面を向けてステッカーが貼られており、外から撮影すると銀色ののり面が反射して白い点のように移りこむという訳です^^;
くだらないネタでスミマセン…
 

15時50分 1217列車改札開始

 

発車15分前の15時50分、無窮花号1217列車の改札が開始されました。

この日の指定席は満席。多くの乗客が乗り込んできます。

左手前の客車と2両目の客車の扉の断面形状がやや違います。これがこの後思わぬ展開になろうとは誰一人知る由もなく…

出発待機中

 

堰を切ったようにやってきた乗客も1段落落ち着き、1217列車は出発を待ちます。
 

7号車、11557号の落とし穴


運転室にいると、無線で呼び出しが掛かってきました。

指令 「鉄道1217列車どうぞ」
1217機関士 「こちら鉄道1217列車。指令どうぞ。」
指令 「今日の1217列車には11000号台が組み込まれています。出発時、駅通過時、到着時と毎回後方確認を行って異常音がしないか確認してください」
1217機関士 「何ですって!?11000号台ですか!?」
指令 「旧型の無窮花号客車です。車両が古いので揺れることがあるのですが、電鉄用の高いホームでは扉とホームの隙間が狭いため、車両の扉がホームをこすってしまう可能性が無くはありません。ですから後方確認を行って異常音が発生しないか監視しなければなりません」
1217機関士 「ちょっ、ちょっと待ってください。我々は電気機関車ですよ!ディーゼルと違って後方確認は出来ません。無理ですよ」
指令 「それはなりません。確認できないのであれば出発できません」
1217機関士 「旧型なら今までもちゃんと走ってたんじゃないの?こんな話は初耳だよ!」
指令 「自動扉改造時に一部の旧型車がこうなったんです。普段は(電鉄線の無い)南部で運用していますが、今日は車両の都合で該当車(11557号)が7号車として当たってしまいました」
1217機関士 「分かりました。何とかします。で、どこまで監視を行うのですか?」
指令 「天安までです」

1217機関士 「(無線機を離して)やれやれ…(車内電話に切り替えて)1217列車車掌聞こえますか〜」
1217車掌 「聞いてましたよ〜」
1217機関士 「悪いけどさぁ、7号車の扉部分に専務車掌を1人監視に付けて」
1217車掌 「天安までですよね〜分かりました」
1217機関士 「何か変な音がしたらすぐに通報して」
1217車掌 「了解です〜」



7号車の客車を良く見ると扉の下部が他の客車より出っ張っています。建築限界はクリアしているものの、電鉄線の高いホームを通過する時にこすらないかどうかを監視する事になりました。

 

←進行方向

 

EL

電源

7号車

6号車

5号車

4号車

3号車

2号車

1号車

 ← 釜山

8217

99339

11557

12247

12513

84

10127

12014

12276

 

 

 

栄州

電源

電鉄線

 

食堂

車椅子

 

 

 

 

機関区

 

注意

 

 

 

対応

 

 

 

 

1217列車(無窮花号)
京釜線経由
 速 度 種 別  クッチョン/8100 (急丁:平均速度70 牽引定数33.0)

ソウル(16:05) → 釜山(21:44)

16時05分、1217列車、出発指示

 

いよいよ出発の時間。出発信号機が進行現示に変わりました。
 


16時06分、1217列車、ソウル発車

 

専務車掌の監視を確認して列車は1分遅れでソウル駅を発車しました。ソウル駅の高い屋根にインバーター音を残し、列車はゆっくりと出発します。

 

ソウル駅を後に

 

列車はソウル駅を後に、京釜街道へと旅立ちます。
 

南営〜龍山駅

 

列車は立ち席も出る満員の乗客を乗せて南営(3番)、龍山(9番)を通過します。
 

漢江鉄橋へ!

 

列車は加速をしながら漢江鉄橋に差し掛かります。ドイツ電機のキャブから眺めるKTXと63ビル。漢江鉄橋の新しい時代を見たような瞬間です☆

漢江鉄橋越え〜鷺梁津駅

 

 列車は漢江を越えて鷺梁津駅を通過します
 

鷺梁津駅通過

 

電鉄線と併走した鷺梁津駅を通過します。新型の通勤電車との並びはソウルの新しい鉄道シーンです。

鷺梁津〜永登浦

 

列車は電鉄線を右に見て最初の停車駅、永登浦駅を目指します。
 

永登浦駅進入

 

列車は1分の遅れで永登浦駅に到着。物凄い数の乗客がホームで待っています。

 

16時17分、永登浦駅発車

 

列車は永登浦駅で多くの乗客を乗せ、2分遅れの16時17分、永登浦駅を出発しました。
 

8200号の本領発揮!

 

 

8200号はフルノッチで加速します。ディスプレイの速度表示は時計の秒針よりも速く上がってゆきます。

ディーゼルでは考えられない、客車とは思えない脅威の加速力にただただオドロキです(@@"

 

EL8200は走る


列車はぐいぐい加速しながら京釜街道を疾走します。
 

九老〜絶縁区間

 

電鉄九老駅を過ぎ(2番)列車は最初の絶縁区間に入ります(4,5番)
ディーゼル時代には気にしなかった絶縁区間も見落とすと大変な事になりますので、注意しながら走ります。それでもディーゼルよりは格段に乗務が楽になったとの事です。
 

加山デジタル団地通過



電鉄線ホームから通過する1217列車を見ます。近郊電車の駅に欧州顔の電機牽引の急行列車が通過する様に見ていて心が踊ります☆
 

電鉄線を疾走!


電鉄線を快走して、列車は次の停車駅、水原を目指します。

(7〜9番) 始興駅を通過。KTXすれ違えるのもここまで。高速線と別れて京釜第1本線へと入ります。心配された7号車の異常音も全く問題無しとの報告が入ってきました(^_^)
 

どんどん加速

 

高速線分岐の100Km/h制限を越えたところでまた再加速します。

100km/hを超えてもフルノッチでは1Km/h/sほどの加速力があり、その速度の伸びにまたまた驚くのみです。

激走、8217号!

 






8217率いる無窮花号は京釜街道を走り抜けます。

京畿道を快走する

 

列車は120Km/hほどの速度を維持しながら京釜線を快走します。

8200号のサイドヴュー

 




疾走する8200号の横顔を捕らえます☆ヨーロッパのベストセラー電機は遠く韓国でも大活躍です。

列車過密地帯を行く

 

列車は鉄道過密地帯を走り抜けます。様々な列車とすれ違い、追い越しながら走ります。

制動開始

 

水原駅が近付いてきた頃、列車は減速を始めます。客車を静かに詰めるべく機関車だけゆっくりと制動を掛けます。

8217号、減速もオドロキ

 

客車が詰まったら一気に回生制動を掛けます。客車のブレーキを消耗させる事無く、ぐんぐん減速して行きます。加速も良いですが、ブレーキも良く効きます。改めてこの機関車の素晴らしさを実感します☆

(9番) 充分減速して水原駅に進入。



16時36分、水原駅到着

 

列車は遅れを取り戻して定刻で水原駅に到着します。これだけの混雑での定時運転は今まででは考えられませんでした^^;;

水原駅の風景

 

水原は世界遺産の城郭を持つ京畿道の主要都市。電鉄線はモチロン、無窮花号やセマウル号を利用して都心へ通勤する人も少なくありません。

(下段中央) 駅前では水原〜仁川の複線電鉄の路盤工事が行われています。かつてのナロー鉄道も「21世紀の水仁線」として甦る日が近付いています。


16時39分 1217列車、水原駅発車!

 

列車は2分の遅れで水原駅を出発しました。8217号はすぐにフルノッチ、細柳駅(9番)を前にして120km/hを超え。電車のような驚異の加速力を発揮します(*^^*)

8217号、郊外へ

 

水原を越えて車窓も郊外的な風景へと変化します。

水原〜平沢

 

列車は120km/hを超えたまま京釜線を疾走します。

(1番) 餅店電車区への連絡線
 

8217号の風景

 




8217号のキャブは天井が高くなっています。大柄のドイツの機関士さんでも頭をぶつけないようにかな…なんて思いつつ…^^;

16時58分、平沢駅

 

列車は再び遅れを取り戻し、平沢駅に定刻で到着します

(5番) 平沢駅でも多くの乗降客があり、再び2分遅れで出発。遅れてもすぐ取り戻せるこの機関車の性能は機関士さんの不安をも払拭します☆

今日の最速、138Km/hをマーク!

 

水原からは線路最高速度が140km/h。遅れた列車は目一杯に加速。列車は軽々と138Km/hまで出してノッチオフ。まだまだ加速しそうな勢いでした^^;;

貨物街道を行く

 

餅店から本数の減る電鉄線電車ですがその代わりに電鉄線には貨物列車が増えます。コンテナ、セメント、スチルロールと様々な貨物列車と出会います。

天安へ!

 

快調な走りを続けた1217列車。遅れを取り戻してゆったりと天安駅に進入します。


天安駅進入

 

列車は天安駅2番ホームに進入します。折しも忠北線からの8000号重連貨物列車も差し掛かります。

ドイツ顔の電機とフランス顔の電機が韓国の駅で出会います(*^^*)

17時13分、1217列車、天安到着

 

かくして列車は天安駅に到着。ここでも多くの乗降客があり、列車の混雑は続きます。

今回のイソウロウはここまで。機関士さんと副機関士さんにお礼を言って機関車を降ります。

8217号の横顔

 

ソウルから走って来たスグレモノ電機。ドイツで生まれた万能電機はいまやKorailの主力機関車になろうとしています。

17時15分、1217列車、天安出発

 

列車は1分遅れで天安駅を発車。1217列車はこの後釜山まで4時間30分の長旅が続きます。終点釜山までお気をつけて〜(^^)/~~

機関車8200を後にする

 

ディーゼル王国だった韓国の鉄道シーン、電化された山岳路線で足を慣らした万能電機はKTXに続いて京釜・湖南の大動脈へとデビューしました。ドイツの技術と韓国の情熱によって動く機関車、8200号の魅力とその凄さに世界にはまだまだ凄い鉄道車両があると圧倒されつつ釜山へ向かう列車を見送った…

イソウロウ日時
2007年5月
 


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