「韓国」韓国鉄道公社・一山線にイソウロウ



ソウル北西の郊外を走る鉄道公社異色の電鉄線

↑一山線は直流1500V・右側通行の鉄道公社では異色の路線。ソウルメトロ3号線と相互乗り入れ・直通運転をします。
 

KORAIL一山線〜ソウルメトロ地下鉄3号線について 

 

韓国鉄道公社(Korail)管轄の一山線はソウル北西のベッドタウン高陽市の大化駅から東へ伸びソウルを目指します。途中、車両基地のある紙[木丑]駅からはソウルメトロ管轄の地下鉄3号線となりソウルの中心部を目指します。日本でも有名な景福宮付近を通過すると江北の都心に入り漢江を横断、江南からは曲線を描きながらオシャレの街、狎鴎亭や長距離バスの集うターミナルを走りソウル南東部の郊外、水西へと至る全長54.4km(一山線:19.2km 3号線:35.2km)の通勤路線です。

今回は紙[木丑]駅から一山線を往復し、そのまま3号線と乗り通しでイソウロウを行いま〜す☆
 

一山線を走る電車たち

 

一山線は3号線と相互乗り入れしている為、KORAIL所属のVVVF電車とソウルメトロ所属の電車が混在します。両者とも直流専用の10両編成です。

(上段) ソウルメトロ所属の電車。「GECチョッパー」と呼ばれるヨーロッパスタイルのチョッパー制御電車は日本では見かけないスタイル。最近は右画像のように行先表示がLED化された編成もあります。

(下段) KORAIL所属車はステンレスのVVVF電車。最近は右のような前面オレンジの塗色(新CI)に塗り替えが進行中で左のオリジナル塗色もあと4編成となりました(2005.5現在)
 

今回の出発地、紙[木丑]駅

 



今回のイソウロウは車両基地のある紙[木丑]駅から始まります。

高陽市郊外・ソウル市との境界にも近い田園に位置するこの駅はKORAIL一山線とソウルメトロ3号線の境界駅になっています。

異色づくめの境界駅・紙[木丑]駅

 

紙[木丑]駅はまさに駅の真ん中を境界線にして鉄道公社(KORAIL)一山線とソウルメトロ3号線に分かれています。すなわちホームの真ん中の境界線より大化寄りがKORAILの管轄、水西寄りがソウルメトロの管轄となります。その為、1本の島式ホームの前半分と後半分では造りが違うと言う韓国でも異色の駅となっています。

ちなみに切符販売などの駅業務はソウルメトロが行っており、KORAIL紙[木丑]駅は無人駅の扱いとなっています。

上の画像の中段がソウルメトロ管轄部分で、下段がKORAIL管轄部分。ホームの柵や飲料水の自販機、線路の防音壁をはじめ、各所に違いが見えます。


 

電車がやって来た!

 

駅を見学していると、弊事務所の取材の為に3号線中央指令室に出向いて下さった職員さんから携帯電話が掛かって来ました。

「紙[木丑]駅に到着したかい?じゃぁ無線で次の列車の運転士に乗せるよう指令するね〜☆
…(無線連絡中)…
次の3218列車に乗ってね。さっき2つ前の駅を出たのでもうすぐ着くよ。停車時間が短いから素早くね〜」

いつも親切で大変丁寧に対応して下さるソウルメトロさん、今回もありがとうございますm(__)m

電話を切って程なく我々の乗車する電車がやって来ました。車体のスタイルも美しいヨーロッパデザインのGECチョッパー電車です。

 

いざ、運転室!

 

運転室の扉が開き、運転士さんと挨拶・自己紹介を交わし素早く運転室に乗り込みます。

日本では見られないスタイルの運転機器は興味津々です。


 

運転室のディテール

 

初めて添乗した興奮を抑えつつGECチョッパー車・第320編成の運転室を観察します。

美しい曲線を描くマスコンや少し小ぶりなブレーキハンドルと興味が尽きません。

(左下) 3号線車両の最大の特徴はこのATC対応の速度計。早い時期からATCを導入した3号線はATC装置もヨーロッパ式です。右半分がATCの指示速度、左半分が実際の速度となります。列車が加速すると左側のインジケーターに赤いバーが点灯。上方向へ伸びて速度を表示します。一方、ATCの速度指示は右側の上から赤いバーが下に伸びます。2つのバーが重なるとATC速度超過を意味し、常用最大ブレーキが自動で掛かり、制限速度まで減速します。

ちなみにこの左下画像の場合は「ATC制限信号60Km/h・実際の走行速度0Km/hです」
 

さあ!出発進行!

 

程なく列車は一山線を終点大化に向けて動き出します。スムーズな乗り心地と軽快な加速で紙[木丑]駅横の車両基地をかすめて行きます。


一山線と3号線は相互乗り入れしていますが、乗務員は車両の所属に合わせて乗務します。現在走行中の一山線はKORAIL管轄ながら、今回はソウルメトロ所属車両なので、乗務員さんもソウルメトロの乗務員さんが通して乗務します。同様に、KORAIL所属車の場合も3号線区間〜一山線とKORAILの乗務員さんが全線乗務します。ちなみにKORAILの乗務員さんは大谷駅内に乗務事務所があり(九老電動車乗務事務所・大谷支所)、乗務員は大谷駅を拠点に交代します。


紙[木丑]車両基地を見ながら

列車はKORAIL車もイソウロウして整備を受ける紙[木丑]車両基地の横を走り地下に入ります

(4番) 塗色変更作業中のKORAIL所属車。側面の帯がはがされています。
(7,8番) 右に見えるのは紙[木丑]基地からの出庫線。
 

ATC先読み運転 

 


列車は快調に走ります。3号線のATCは単なる車間調整の信号だけではなく、曲線や勾配の速度制限に対応して制限速度を変化させます。その為、熟練した運転士さんは前方のATC信号を先読みし、無駄な加減速を行わず、安全でスムーズな運転を行います。

画像の場合、ATCが80Km/h信号を出していますが、この先で60Km/h信号が出ることを見越し、約65Km/hで惰行を始めたところです。

一山線を行く

 

地上・地下と繰り返しながら列車は小雨の一山線を快走します。明かりと地下区間が入り混じるため、運転していて目が慣れづらいように思えますが、そこはさすがプロ!しっかり前方注視で運転を行います。

(上段右) GECチョッパー車のマスコンは0〜4まで目盛りがありますが、台湾のEMUのようにノッチは無く、ステップレスの制御となります。画像の場合は2.5ノッチ(?)です。
 

終点は近い

 

駅での停車を繰り返し、30分ほどで列車は終着駅、大化駅に近づきます。
 

大化駅入線

 

電車は速度を落としてクロッシングを渡り、定時で大化駅に到着。静かにホームへ滑り込みます。

大化駅停車

 


列車は停止位置ピッタリに到着。列車本数の多いラッシュアワーはこの先の留置線に引き上げて方向転換を行います。

今はデータイムですので、このままホームに停車したままで方向転換を行います。

方向転換準備

 

到着するや否や運転士さんは手際よく機器の電源を落とし前方運転台に移動します。

(4番) 弊事務所もお手伝い。列車番号表示のプレートを折り返し電車の列車番号へと差し替えます。アクリル板ながら見た目より重いのにビックリ。モタついてかえって足を引っ張ってしまい…(^^;)
 

前方運転室

 



歩くこと200m、前方運転室に到着です。乗務員ドアは鍵を開けて横に開きます。

運転準備開始

 

ブレーキレバーを差し込み、手早く確実に運転準備を行います。準備完了を無線交信で告げると列車は出発待機となります。
 

 
新しい速度計パネル

 

今回イソウロウしている320編成は大化方が従来の運転機器搭載、水西方の運転室には新型の速度計が搭載されています。

この速度計は日本でもありそうなデザイン。将来のATO導入に対応したタイプです。このタイプは2号線の新型VVVF車にも搭載されています。


始発駅、大化駅

310

駅名/Station

乗換/Transfer

大化
Daehwa

 

 

大化駅からは折り返し3251列車として水西を目指します。
 

KORAIL所属車の対向列車の到着と入れ替わりに扉が閉まります。

14時5分、3251列車、大化駅発車




車掌さんからの発車指示のブザーを確認して列車は水西へ向けて来た道を戻ります

安全運転でよろしくお願いしま〜す☆

ダイヤをチェック!

 



運転士さんのダイヤ。3251列車で紙[木丑]まで一山線を運転し、夕方まで休憩となります。3251列車は紙[木丑]駅で運転士を交代し、そのまま水西へ向かいます。

注葉〜鼎鉢山駅

311

駅名/Station

乗換/Transfer

注葉
Juyeop

 

312

駅名/Station

乗換/Transfer

鼎鉢山
Jeongbalsan

 


電車は最初の駅、注葉、鼎鉢山と停車して行きます。

参照ページ

一山線注葉駅にイソウロウ
 

 

運転室のディテールA

 

またまた運転室を観察します。

(左上) ブレーキの空気圧力計は名門ウェスティングハウス社製

(右上) 前面貫通扉の裏側。扉の下部が固定されていて、非常時は前方に倒して脱出用のスロープとなります。
 

馬頭駅

313

駅名/Station

乗換/Transfer

馬頭
Madu

 


列車は少しづつ乗客を集めながら一山区の地下を快走します
 

白石駅

314

駅名/Station

乗換/Transfer

白石
Baekseok

 

 

日本にも同名駅のある白石駅に到着。出発して程なく遠くに地上区間に出る明かりが見えてきました。

地上区間!

 

列車はフルノッチで一気に登りを駆け上がります。一山線はここからは高架区間となります。

大谷駅到着

315

駅名/Station

乗換/Transfer

大谷
Daegok

韓国鉄道公社 京義線

水色・新村・ソウル 方面
金村・ムン山・都羅山 方面

 KORAIL  Gyeongeui Line

for Susaek・Sinchon・Seoul
 Gimchon・Munsan・Dorasan

 

列車は京義線・郊外線(貨物線)に接続する大谷駅に到着します。

(左下) 京義線を走るCDC。2005年秋頃から全車両が新塗色に塗り替えられました。

参照ページ

都市通勤型気動車にイソウロウ〜第3部・郊外編〜
 


 

地上区間を行く

 


運転室の側窓から後方を見ると長く美しい編成が連なっていました。

再び地下区間〜花井駅

316

駅名/Station

乗換/Transfer

花井
Hwajeong

 


列車は郊外的な風景を走り、再び地下へ。程なく花井駅に到着します。

そしてまた地上へ

 

花井駅を出るとまた電車は地上へと出ます。トンネルの出口がまた眩しいです。
 

元堂駅到着

317

駅名/Station

乗換/Transfer

元堂
Wondang

 

 

地上に出て田園風景の中を走ると元堂駅に到着します。この辺りは地下鉄の延長と言うより日本の地方私鉄の本線の郊外区間を走っているようです。(分りづらい表現ですね…^^;)

 

新塗色のKorail車も到着




元堂駅に到着中、水西方から鉄道公社のVVVF電車がやって来ました。この塗色は韓国のファンの間で「オレンジ味の3VF」と呼ばれます^^;


元堂発車〜三松駅

318

駅名/Station

乗換/Transfer

三松
Samsong

 


列車はまたまた地下に入り、三松駅に到着します。
 

三松駅発車〜高架を快走


三松駅を発車した電車は紙[木丑]車両基地への入れ替え線と分岐し(2〜4番)地上に出ます。そのまま高架線となり、左手に紙[木丑]基地を見ながら快走します

紙[木丑]駅は近い

319

駅名/Station

乗換/Transfer

紙[木丑]
Jichuk

※地下鉄3号線(ソウルメトロ管轄)と直通運転

 

小雨の振る中、遠くに紙[木丑]駅が見えて来ました。鉄道公社管轄の一山線はこの駅で終わりです。
 

14時32分、紙[木丑]駅入線

 

列車は定時で紙[木丑]駅に到着しました。駅の中の境界線を越えてソウルメトロ管轄区域に入って行きます。
 


列車到着〜運転士交代〜

 

列車は紙[木丑]駅に到着。ここで機関士(運転士)さんは交代します。運転お疲れ様でした〜☆そして次の運転士さん、よろしくお願いしま〜す
 

一山線、3251列車、紙[木丑]駅停車中〜


3251列車は紙[木丑]駅に到着。停車中、編成の後半分はKORAIL一山線、前半分はソウルメトロ3号線に位置します。KORAIL側の柵はKTXをモチーフにしたものです。

次はいよいよ地下鉄3号線で都心を目指します〜☆
 

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