「台湾」自強號EMU1200にイソウロウ

〜第3部 南国特急編 
後編

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個性的なマスクと吊掛けモーター。「赤いシマウマ」南台湾を俊足で駆ける。


数ある台北〜高雄の自強號。その内2往復をEMU1200が担当します。
 

朝7時 台北・松山行き 自強1004次 台南駅停車中

 



台南市は人口80万人にも及ぶ大都市。高雄・岡山からの通勤通学の下車客と台南からの乗客が朝のホームで交錯します。

ここ台南駅でも台北や台中への長距離利用者と新營や嘉義への通勤通学客が乗り込みます。日本人的には都市間特急と思える自強號も朝の便は通勤特急としての機能を存分に感じます。

7時00分、1004次、台南発車!

 

ようやく客扱いを終えて自強號1004次は再び3分遅れで台南を出発します。

次の停車駅、新營までは38.5kmを25分、表定速度92.4km/hで走破します。

台南を後に

 

列車は快調に加速を続けます。

(2〜4番) この時間帯は高雄や台南に向けて走る通勤通学の列車と多く出会います。やって来たのは高雄〜屏東へ向かう復興號。

(7,8番) 台南郊外の大橋駅を通過

朝の風を分けて

 


後部運転室窓から先頭を覗くと田園風景の暖かい朝風が入ってきました。

永康駅通過!

 

程なく1004次は分岐器制限速度の100Km/hに速度を落とし「縁起の良い駅名」として名の知れた永康駅を通過します。

(5〜7番) 先行していた通勤電車2666次を追い抜きます。

俊足特急にて満員電車

 



永康を出発して再び120Km/hまで加速。信号点呼も高らかに順調に北上します。

車内は相変わらず立席も出るほどの超満員。

7時08分 新市駅通過

 

3分遅れのまま新市駅を通過します。1004次は高速で通過線を走り抜けます。

速度120Km/h!

  

列車は120Km/hの速度を維持して走り続けます。運転士さんは最高速度の120Km/hでもノッチオフせず、速度を維持するために弱めのノッチで微調整を行いながら走ります。

善化駅通過!

 

運転士さんのノッチ技で遅れを1分取り戻し、7時12分、善化駅を通過します。

(5番) 駅にある「鐵路穀倉」。JNRチックな味わい深い雰囲気があります。
 

120Km/hの走りは続く

 



1004次は最高速度120Km/hを維持しながら朝の南台湾を駆け抜けます。

曾文渓橋〜抜林駅通過

 

列車は曾文渓橋を軽やかに通過。橋を渡ると対向式ホームの抜林駅があります。
 

隆田駅接近

 

運転士さんが帽子をかぶると駅が近い合図。120Km/hを持ったまま次の通過駅、隆田駅に近づきます。

7時15分 隆田駅通過!

 

1004次は遅れを更に1分取り戻し、1分遅れで隆田駅を通過。古い倉庫の集まる良い雰囲気の駅です。

(7番) 隣接する食品会社の真っ白な入換機
 

台湾高鐵とオーバークロス

 


西部幹線は並行する台湾高鐵(新幹線)と幾度かオーバークロスします。

真新しい高架橋はすでに完成し、ここに超高速の列車が行き交う日も近いことを感じます。
 

日の出!

 



遠く離れてゆく高鐵の高架橋の向こうに大きな朝日が姿を現しました。

 

新營を目指して 

 

列車は台南方面の列車とすれ違いを繰り返しながら120Km/hで次の停車駅、新營を目指します。
 

林鳳營駅通過!

 


7時18分、1分遅れのまま林鳳營駅を通過!

 

紅斑馬、南国の地を駆ける

 

紅斑馬ことEMU1200は吊り掛けモーター音も全開で軽やかに駆け抜けます。

(5,6番) 柳營駅を通過。ここで遅れは30秒!超絶技巧の運転技の賜物です。

冷気平快と挨拶

 



前方から冷気平快205次がやって来た。鉄道の近代化が進み電車での鈍行列車が激増した西部幹線において今や貴重な存在です。


ATS作動!

 



新營駅が近づき列車が減速をはじめた頃、ATSが作動、まもなく停車駅の新營駅です。


7時22分、新營駅 定時到着

 

列車は遅れを全て回復し、新營駅に定時到着します。速度超過は勿論、揺れや急加減速を用いずスムーズな乗り心地のうちに3分の遅れを取り戻す。これぞ台鉄運転士の最高峰、自強號の運転士さんのなせる業です。またそれを支えた縦貫線の軌道。西部幹線が名実共に一流の鉄道であることを実感します。

台南から新營までの38.5Kmを22分、表定速度は何と105Km/h!吊り掛けモーターの赤いシマウマは驚異のタイムをマークします。
 

新營駅停車中


新營駅で出発を待ちます。通勤時間帯だけあって多くの乗降客があります。

7時24分 新營発車!

 


1分以上発車ベルがホームに鳴り響き、ようやく客扱いが終了。1分30秒遅れで新營を出発します。

再び快走!

 

1004次は再び加速を続け120Km/h運転に入ります。

後壁駅(5番)を通過、八掌渓橋を渡ると台南県から嘉義県へと入ります。

(9番) かつて製糖線の伸びた南靖駅を1分遅れで通過。遅れを30秒取り戻しました。
 

水上駅通過

 



列車は水上駅を通過ホームの木々が南国の雰囲気を盛り上げます。

 

北回帰線を横断

 

車窓左手に縦貫公路・1号線が並行して来ると北回帰線標誌と展望台が見えて来ます。列車は北回帰線を境に熱帯気候から亜熱帯気候地帯へと入ります。

(左下) 水田に建つ広告看板。まるで日本の雰囲気です。が、ここは台風の多い台湾。脚が極太です。
 

中性区間〜嘉義駅接近

 

北回帰線を横切り嘉義市に入った列車は中性区間(デッドセクション)を通過、同時にATSが鳴り、徐々に減速を行います。

(7,8番) 留置線の通勤電車の横をかすめます。赤と黄の信号表示は「慢速」。制限25km/hで構内に進入します。
 

7時40分 嘉義到着


1004次は広大な構内をかき分けて30秒遅れで鉄道の要衝、嘉義駅に到着しました。

嘉義駅停車中

 



1004次は西部幹線の要衝駅、嘉義駅に停車します。ここは台鉄の運転拠点の他、日本でも有名なナローの登山鉄道、阿里山鐵路の始発駅でもあります。

(右上) 豊原からやって来た架線下DCの自強號とも出会います。

(左下) 阿里山鐵路の乗り場。台鉄ホームから延長しています。
 

7時42分 嘉義発車

 

人口55万人の都市、嘉義では降車客が多く、我々の列車は2分遅れで嘉義を出発します。

嘉義駅に隣接する嘉義鉄道芸術村(5番)と別れ行く阿里山鐵路のナロー線路(6番)。嘉義はまさしく鉄道の街です。

(9番) 2005年9月に開業したばかりの嘉北駅を通過。
 

赤いシマウマ、北上中

 

列車は再び120Km/hの世界に入り縦貫線を北上します。

EMU1200の通称「紅斑馬(赤いシマウマ)」は元々台湾の高速道路の取り締まりパトカー(背面に赤い縞がある)を指す言葉で、EMU1200もその前面のストライプと俊足に掛けて同じ名前がつけられたようです。
 

斗南を目指して




嘉義からは通勤通学客も減り、ビジネス特急として疾走します

次はいよいよ目的地である斗南駅です。


7時48分 民雄駅通過

 

列車は遅れを1分取り戻し、民雄駅を通過します。

民雄駅では荷物列車が停車中。牽引する電気機関車の次位には無動力回送のR20型DLが連結されていました。

(5番) 民雄駅の駅名票。次の駅は大林駅。この区間は全国の大林民雄さんにはオススメ乗車券です〜☆
 

紅斑馬の熱い走りは続く…





列車は変わらず120Km/hを維持し続け、遅延回復に努めます。


大林駅通過!

 

列車は7時54分、大林駅を通過。デッドセクションを交わして力走します。

(5,6番) 大林駅から近隣の製糖工場には製糖鉄道の引込み線が伸びていました。現在は草に埋もれた姿をかすかに見ることが出来ます。
 

石亀駅通過

 

列車は雲林県に入りました。最初の通過駅は田園の中に立つ駅、石亀駅です。この時点で遅れもわずか30秒!
 

ラストスパート

 



石亀駅付近から縦貫公路1号線が並走します。

赤いシマウマは走り行く車をどんどん抜いて行きます。
 

7時55分 自強1004次 斗南駅 定時到着

列車が減速を始めると斗南に到着です。今回のイソウロウはここまで。嘉義での遅れもなんのその、見事な定時到着です!
 

一路平安!順利!紅斑馬を見送る!

 

運転士さんにお別れを告げて斗南駅に降り立ちます。

手早く客扱いを済ませた1004次は台湾の大動脈をさらに北上し、首都台北を目指し軽やかに去って行きました。

ありがとう紅斑馬!祝旅途愉快〜!

EMU1200を後にする


雲林県の地方都市、斗南駅前。駅前からは製糖鉄道で有名な虎尾へのバスも発着します

台湾の首都台北と第2の都市高雄、真ん中に位置するのは第3の都市台中、台湾の三大都市を結ぶ縦貫線の最優等列車「自強號」。その中でも異色の電車特急EMU1200に添乗し首都台北、台中、高雄と3部に渡って密着してきました。「紅斑馬」ことEMU1200は都市間を結ぶ特急であると共に地域の通勤の足までこなしてしまう姿を目の当たりにして、来たる新幹線の開業後も頼もしい存在であることを確信しつつ斗南駅を後にした…

イソウロウ日時
2006年1月


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