「台湾」高雄港駅にイソウロウ

〜 第1部 古豪貨物駅の日常

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昔ながらのヤードが残る、台湾南部の鉄道貨物の拠点にイソウロウする。


↑扇形に延びた構内には台湾中から様々な貨車が集い、憩います。
 

古き良き高雄を残す高雄市街地西部エリア。

 

近代的な高層ビルが建ち並ぶようになった高雄の市街地ですが、ここ市街地西部は言わば旧市街地エリアに当たります。このエリアには古き良きレトロな建物やのんびりした軒先風情など、今も往年の雰囲気を残しています。今回イソウロウする高雄港駅はそんな西部エリアの一角に鎮座します。

 

台湾を代表する貨物駅〜高雄港駅到着!

 

高雄駅から歩く事1時間少々、旗津への渡船場や英国領事館などの名観光地へ向かう途中に高雄港駅の本屋はあります。高雄港駅はヤードの周辺各所に事務室・運転室・車両検査事務所・信号室等、各建物が分割・点在して建っているおり、その1つ1つは風情のある存在です。

いざ、事務室

 



駅事務室で駅長さんに挨拶を済ませてイソウロウ開始です〜☆


時間は朝7時半。全開の扉から涼しい浜風が吹いています。

事務室の風景

 

事務室の内部は木を多用した古き良き風情があります。ちなみに高雄港駅は年中無休/24時間営業で、まさに「小麦から戦車まで〜貨物輸送のコンビニ」と言った状態です^^;


高雄港駅の風景
 

高雄に初めて鉄道が登場した当初、ここは打狗駅と呼ばれ、高雄市を代表する駅でした。打狗とは原住民である平埔族がこの地を「TAKAU(竹林の意)」と呼んでいた事から中国語読みで「打狗(Da-Gou)」と当て字にしたものです。その後、日本語読みで字を当て、地名は現在の「高雄(Taka-O)」となりました。

後に現在の高雄駅が開業し、ここは高雄港駅となりましたが、駅構内は今もここが台湾縦貫鐵路の南の拠点であったことを感じる風格を残しています。

(下段中、右) 高雄港駅には軍用の戦車を積み込むホームがあり、軍用列車が発着する事もあります。
 

高雄港站運轉室へ移動〜

 



ヤード南西の駅本屋を後にして、今回のメイン、運轉室に向かいます。ヤードを橋で越え、下町の路地を歩きヤード北東にある運轉室を目指します。

(左下) 検車段(貨車検修場)の入り口

ここが高雄港站運轉室

 


古い住宅街の中にひっそりと運轉室はありました。白い壁の建物に瓦屋根。本屋とはまた違う、ローカル駅の風情に似たインパクトをも感じます。

運轉室とは積荷やダイヤに合わせて実際に貨車を入れ替えし、編成を作り上げる部署です。

朝の事務所

朝の運轉室内部には多くの職員さんでにぎやかな話し声が響いていました。


(上段中)貨車に取り付けるテールランプを充電中
(下段左)作業の安全を祈願して廟があります。
 

構内の様子

 


運轉室側の構内は中庭に大木がそびえる小公園仕立てです。

腕木信号機!

 


DoDo火車にイソウロウ〜第2部〜」でも登場した腕木の場内信号機。腕の付いていない下側の信号機は残念ながらレバーも外されていました。



今日はDoDo火車も貨物列車もお休みなので停止位置になっていました。

老兵、S200

 



構内には老兵入換機、S200が出番を待っていました。新型の後継機、DHL100の進出の波にも負けずに最後の活躍をしています。

 

許可を得て関係者同行の上撮影

S200のディテール

 

登場から40余年と言う古豪は今なお現役!内外装共に大切に使われており、高雄港駅では今も入替作業の主として君臨しています。

ちなみにこのS200は高雄港駅に常駐ではなく、所属する高雄機務段(高雄駅隣)から機関士さんもろとも通って来ています。

許可を得て関係者同行の上撮影


8:00お仕事開始〜



朝8時になると構内放送が入り、職員さん総出でヤード内のゴミ掃除を行います。

さぁ!貨物ヤードの鉄道マンの一日が始まりました

8:30 作業開始

 

ヤードの掃除が終わるといよいよ入換作業が始まります。今日はDoDo火車など高雄港〜前鎮間の列車が運休なので、線路が広く使えます☆

(左上)保線作業も平行して行われます

(下左右)入換の手順と編成が記された表。この表を元に入換作業が行われます。

入換開始〜突放天国!!

 

程なくS200が唸りをあげて、貨車を引っ張り出します。高雄港駅は突放天国。今の日本ではあまり見なくなった迫力の突放シーンがここでは現役です。

 

編成を作る

 



貨車の豪快な連結音やS200のエンジン音、汽笛に無線交信、さまざまな音が入り乱れ、手際良く入換作業は続きます。

機関士さん、転轍機を切り替える人、連結を外す人と皆が阿吽の呼吸で連携し、どんどん編成が出来上がって来ます。
 

許可を得て
関係者同行の上撮影

保線員さんも活躍!

 



時間は10時を回ったところ。日も高くなり、気温は30℃を超える炎天下。保線員さんは行き交う貨車の中、疲れた線路を整えて行きます。

自強号や観光列車と華やかな台鉄の裏で汗を流して鉄路を守る保線員さん。鉄道がある限り欠かせない存在です。

許可を得て
関係者同行の上撮影

炎天下での作業は続く…

 

お昼が近づくにつれて、暑さもピークを迎えます。貨物列車を組成する鉄道マン、線路の歪みに目を光らせる鉄道マン、天氣熱をも跳ね除けて仕事は進みます。

許可を得て
関係者同行の上撮影


11:30 午前中の作業終了〜♪

 

炎天下の作業が3時間ほど続き、予定の編成が完成。午前中の作業が完了です〜♪

皆様、お疲れ様でした〜

 

鉄道マンの素顔


灼熱の太陽の下、無事に入換作業が終わり、鉄道マン達は皆安堵の表情を見せます。

許可を得て
関係者同行の上撮影


昼食の時間!

 



詰め所からは良い匂いが漂ってきました。今日は予定より少し早い昼食です〜。

みんなで準備

 

みんなが詰め所に集まり、食事の準備を始めます。今日はどんなメニューかな〜
 

高雄港站、本日の献立

 

鉄道マンの今日の昼食メニューはご飯と豆腐(辛味噌をかけて食べる)、港町高雄らしい海山の具だくさんの湯が付きます。さらに鉄道マンのスタミナ源(?)「生玉子」が付きます。日本のように卵かけご飯にせず、醤油を垂らし、少し混ぜてグイっと飲み込みます(*o*)

 

楽しい昼食

 

ワイワイガヤガヤと男たちの賑やかな昼食が始まります。「腹が減っては戦はできぬ」と言わんばかりに鉄道マンは食欲旺盛です。
 

12:30 皆でお昼寝

 

食事と一服を終えた鉄道マン達は、一部の当番を残して皆お昼寝に就きます。先ほどまでの騒がしさがうそのように扇風機の音だけがそわそわとそよいでいました。

高雄港駅@お昼寝中

 



入換機関車S200もエンジンを切ってまさに皆お昼寝状態。駅は静まり返ります。

静かな構内は駅全体が大きなゆりかごのように時間がゆったり流れます。

貨物列車到着

 

お昼寝中の高雄港駅にR150牽引の貨物列車がやって来ました。当番の作業員さんが機関車を切り離し、牽引機はすぐに高雄へ帰って行きました。


その数10分後、R50牽引の貨物列車が到着。機関車は夕方発の貨物牽引機としてしばし高雄港駅に腰を据えます。
 

14:00 午後の作業開始〜!

 



2本の貨物列車到着を待って鉄道マン達が起きて来ました。

さぁ、張り切って行きましょう〜!


S200も始動!

 

お昼寝中のS200もエンジンを始動!老兵も重たい始動音でお目覚めです。


役者が揃った所で午後の作業開始です〜!

午後も全開!

 

午後の入換作業が始まって高雄港駅ヤードは一気に賑やかになります。このメリハリが高雄港駅のパワーの真髄と言う事を実感させられます。
 

検車段からの貨車引き出し

 


朝から衰えない阿吽の呼吸で、あっという間にヤードの入換が終わり、続いて検車段に留置中の整備済み貨車を引き出して編成に加えます。
 

プロの技!圧倒的な貨車捌き


ガシャンガシャンと豪快な連結音をこだまさせて突放劇は続きます


腕木の下で

 



検車段からの貨車引き出しは高雄港線を使用して行われるため、貨車が長く連なっていると、S200と腕木信号機の並びが見られます。腕木ファンとしても思わぬフォトラン(?)に興奮が収まりません(*^^*)

 

入換作業は続く



気が付けばあっという間に時計は4時に迫り、入換作業も仕上げを迎えます

16:30 今日の仕上げ〜R50連結

 

貨車の組成が完了した仕上げに、本務機R50を連結し、今日の入換作業は終了となります。
 


ディーゼル機関車の並び

 


発車を控えた本線牽引機R50型(R56)と古豪入換機S200型(S210)がしばし並びます。

2台の高齢機は夕日を浴びながら何か会話をしているようにも見えます…
 

16:50 貨物列車発車〜今日の仕事完了☆


貨物列車の発車を見送って高雄港駅の鉄道マンの一日は終わります。

お疲れ様です〜

控え室には一日の仕事を終えた鉄道マンが集まって来ました。しばしの談話の後、夜勤の職員さん数人を残してそれぞれの家路につきます。

猛暑の中の激務、今日も一日、お疲れ様でした〜(^_^)/
 

S200も帰宅


老兵S200もネグラの高雄機務段へと帰って行きます

 

S200の帰路

 

高雄港駅を出たS200は鼓山駅から西部幹線に入り、愛河の鉄橋を渡り、高雄機務段を目指します。

 

高雄港駅を後にする


台湾の貨物輸送を支える貨物駅、高雄港駅。華やかな旅客駅と比べれば地味な存在に見えてしまいがちですが、ここにいれば台鉄の貨物列車が昔ながらのヤードで手際良く貨車を連結し、貨物列車を作り上げる鉄道マン達の手で支えられている事を実感させられます。褐色の貨車が、朱色の老入換機がヤードを行き交う風景は「これぞ貨物列車の原点」と言わんばかりです。

台湾でも少しづつ海上コンテナ貨物列車が増えつつありますが、有蓋車、タンク車、ホッパー車、無蓋車、長物車と多彩で楽しい貨物列車がいつまでも残って欲しいと願いつつ高雄港駅を後にした…

イソウロウ日時
2005年5月


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