「韓国」地下鉄6号線新内基地にイソウロウ


地下鉄の住む家、ソウル都市鉄道公社の車両基地にイソウロウする


↑パッと見、日本の私鉄の車両基地のような光景です

ソウル地下鉄6号線

 

ソウルを東西に結ぶ全長35.1Kmの地下鉄6号線は、2001年3月に全線開業したソウル特別市都市鉄道公社(SMRT)が運営する路線です。沿線には多国籍の街、梨泰院や炭焼き肉の麻浦、そして2002年サッカーワールドカップのメインスタジアムがあり、ソウル観光にも欠かせない路線です。また西端はループ線(鷹岩循環ループ)となっているのも特筆すべきところです。

今回はそんな真新しい6号線の車両の東のネグラである、新内基地にイソウロウします。


新内基地を目指して〜烽火山駅〜

 



6号線はソウルの西、鷹岩(循環ループ)から、ワールドカップ競技場、合井、三角地、梨泰院、東廟前(=東大門)、高麗大などを経由して、終点烽火山駅に至ります。

新内基地は、ここ6号線東端の終着駅、烽火山駅の更に東に位置します。


(左上)昨年辺りから多数設置されているT-Moneyの金額充填機。

回送列車に乗り、基地を目指す

今回はソウル特別市都市鉄道公社(SMRT)様のご好意で、ここ烽火山から回送列車(基地入庫列車)で新内基地に入ります。

回送列車発車!




回送列車は静かに戸が閉まり終着駅のその先の線路へと踏み出します。

新内基地を目指して

回送列車は程なく地上区間になり、新内基地に到着します。ちなみに、6号線はATO(自動運転)によるワンマン運転なのですが、烽火山〜新内基地の間は、運転士が線路脇の色灯式信号機の指示に従い、手動運転を行います。

列車を降りる

回送列車は新内基地の入口に到着後、洗車機の前の定位置に止まります。運転席から下車後、列車は洗車機を通過(この日は洗車ナシ)して蔵に入って行きます…

新内基地到着!
 


新内基地に到着。木製の立派な看板には

ソウル特別市都市鉄道公社
 新内車両事業所

と書かれています。

新内基地の風景

基地の事務所前で周りを見ます。左上のレンガ色の建物が中枢部、中央管理棟です。

オリエンテーション
 管理棟の会議室で職員の方より、基地見学に際してのオリエンテーションを受けます。新内基地、6号線やソウル都市鉄道公社についての紹介、質疑応答などがあり、親切に色々教えていただけます

地下鉄の中枢基地だけあって撮影可能なものとそうでないもの、見学の段取りなど綿密に打ち合わせて行きます。

検修庫へ移動♪


会議室での打ち合わせの後、研修庫に向かいます。

(左上)出庫用の信号機がズラリ 

(左下)約57,500坪の広大な基地内には踏切が何箇所かあります。SLマークの踏切標識は不思議な風景です^^;

研修中の車両

いよいよ検修庫。中では6号線第20編成が3ヶ月検査を受けている最中でした。

ソウル都市鉄道公社の車両研修体制は、

・日常点検 (到着点検10項目、出庫点検26項目)
・軽整備 (3日検査329項目、3ヶ月検査628項目)
・重整備 (3年検査946項目、6年検査957項目)
・非定期検査 (臨時検査、特別検査など必要に応じて)

があります。

なお、新内基地では日常点検と軽整備のみを行っており、重整備は連絡線を通り、7号線の道峰車両基地で行う事になっています。

研修庫を見学する

6号線には現在41編成328両の車両が在籍中です。整然とした研修庫内部では日々安全のための整備に余念がありません。

この日は安全上の理由で、
検修作業が1段落した時間帯に訪問したため、中は静まり返っていました
 

電車の屋根に登る






屋根上点検用の通路から電車の屋根を見学します。

直流電化の6号線の架線電圧は日本と同じ直流1500V。高電圧で危険なため、屋根に登るときは架線に電源が入っていない事を厳重に確認します。

(下) 
断電/給電の表示灯
 

電車の屋根上

 




6号線電車の屋根上から。普段なかなか見ることの出来ないエアコンやパンタグラフ、アンテナなどの様子が良く分かります。

パンタグラフ特写!

6号線のパンタグラフ。小振りに見えがちなパンタグラフも職員の方と並ぶと、その大きさが分かります。
 

電車の床下


屋根を見た次は床下から電車を見学します。
 

列車の床下

 

コチラも普段見ることが出来ない地下鉄電車の床下です。

 

台車も特写!

 


6号線電車の台車。技術的に日本の影響を大いに受けており、どことなく日本にもあるような無いような…


(左中段) 車軸の奥に見えるのがモーターです。

形式番号について

 

ソウルの地下鉄を走る車両には全て4桁の形式番号が付いています。

ちなみに、ソウル都市鉄道公社の車両番号の呼称は

[路線番号]+[車両種別番号]+[編成番号(2ケタ)]

となっています。右写真の6420で例えると、

 → [6号線]
 → [T1車]
20 → [第20編成] 

の意味があります。車両種別番号とは、編成中のどの車両(先頭車/モーター車etc.)を識別する数字です。

 

 

 

 <>

 

 

 

 <>

 

車両種類

[Tc]

[M1]

[M2]

[T1]

[T2]

[M1]

[M2]

[Tc]

種別番号

(第20編成の車番例)

6120

6220

6320

6420

6520

6620

6720

6020

右上写真の6320が連結されている第20編成は

[6120][6220][6320][6420][6520][6620][6720][6020]

となります。なお、ソウルの地下鉄電車を編成名で呼ぶ際は、
・2桁目の数字を抜いた3ケタで呼ぶ方法(SMSC/SMRT呼称:620編成,201編成等)
・2桁目をxとする方法(Korail呼称:5x44編成,1x26編成等)
の2種類があります。

運転室

 

屋根、床下と見学した後はATO対応の運転室に乗ります。6号線は右側通行なので、運転士席や手動運転機器がやや右寄りにあります。

運転室のディテール

 

運転室の機器を観察します〜

(右下)T字型のハンドルは手動運転用のコントローラー。


(左上)前面非常用扉の裏には梯子が収納されています。

運転室を見学して

 

標準軌の6号線は運転席がゆったりし、機器類も思った以上にシンプルで、韓国のハイテク電車を感じさせられました。

サービスパック
6号線電車の警笛(.wav/147kb)
(許可をもらって踏ませてもらいました^^ゞ)

検査管理棟

 

検修庫の隣の検査管理棟に移動します。ここはジャッキアップ等の軽整備の一部を担当します。



(右上)Rotem社の出張事務所もあります

 

検査管理棟構内

 

検査管理棟は小規模ながらその気になれば重整備も出来そうな装備が入っており、車両検修に万全を尽くす都市鉄道公社の意気込みが伝わってきます。

車両用ジャッキ

 


台車と車体を分割する際に用いるジャッキ。台車交換や床下の大修理に威力を発揮します。

601号入換機

 



基地イソウロウの最後は本線にはまず姿を見せない地下鉄基地のディーゼル機関車。

DD13のような風貌で佇む入換用DL。これが601号入換機です。



601号のディテール

クラシックなスタイルの601号ですが、1999年大宇重工業製の液体式DLです。密着連結器が電車基地の入換機を物語っています。

基地を後にする

ソウル有数の観光地、梨泰院をより便利にし、2002年のFIFAワールドカップでも世界中のサポーターを乗せて大活躍した6号線。今日もたくさんの人の暮らしを乗せて、走る電車を陰で支える車両基地。

今後は車両数も増え、新内基地にも更に多くの電車が集うことを夢見つつ基地を後にした…



イソウロウ日時
2002年8月


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